最近、インターネットオークションを始めた。自宅で場所塞ぎになっている不用品を処分することと、ちょっと収入の足しにする、ということが目的。一石二鳥である。たいした額ではないが、最近削られた小遣い分程度になる。(せこい話だが、失業中なので小額でもありがたいのですよ。)売るものがなくなればすぐにやめるつもりであるが、せっかくなので気がついたことを書いておくことに。
今回、ヤフーオークションに登録した。私は学生時代に購入したレーザーディスクのソフトを出品して、これまでに十本ほど売ることができた。すでにプレーヤーを廃棄してしまい観ることができないので、私にとっては全くの不用品だった。今どきレーザーディスクなど時代遅れで、ブックオフでも買い取ってくれない。処分できず、書斎の本棚をどーんと占領していたのである。
しかしヤフオクでは参加者が多いため(利用者数は600万人だそうです)、普通のリサイクルショップや古本屋で扱っていないものでも買い手が付く。なにしろレーザーディスクの音楽ソフトを扱うカテゴリーがあって、クラシック音楽のソフトだけでも数百の品物が出品されている。日本中からアクセスできるインターネット上の大きな市場に個人で参加できるというのが利点。
ただし、大した額にはならない。私はオペラのソフトを出品したが、相場は一タイトル数百円から千数百円である。(ちなみにオペラのソフトはオーケストラと歌が聴けて、舞台が楽しめて、しかも字幕付、というお買い得品である。)オークションなので、欲しい人が複数いればセリになって価格が上がる。これまでに最も高く売れたのはプロコフィエフ「炎の天使」の五千五百円、次がワーグナー「ワルキューレ」の二千六百円。有名なオペラが高く売れるとは限らない。それからワーグナーのオペラにはファンが多いようである。
ただしこれで安定した収入を得ることは至難の業である。例えば、千円前後の商品を扱って一ヶ月に十万円の売り上げを得るためには、百点程度の品物を売らなければならない。品物を仕入れ、市場調査をして値段をつけて出品し、オークションが終わったら落札者と連絡を取って入金を確認、商品を包装して発送する、という作業はけっこう手間と時間がかかる。
ビジネスとして売り上げを伸ばすには、商品の数を増やすか、より高額なものを扱わなければならない。しかし一人で扱える数は限られているし、かといって高額なものを効率的に仕入れることは容易ではない。(まあ楽な商売など無いということでしょう。)
ところで以前、大学などの公的研究機関を対象にした中古実験機器のインターネットオークションを開いたら、需要があるのではないかと考えたことがある。大学の実験室ではプロジェクトが終了した等の理由で使われなくなった装置や器具がひっそりと保管されていることが多い。そのような品物を扱う中古品売買の市場ができればそれなりのビジネスになる、というわけだ。
用の済んだものを売って必要なものを買うというのは、広い意味での研究費の効率的な使い方である。さらに実験装置の有効利用であり、短期間だけ機器が必要という需要に答えることができる。
そこで大学の事務の人に、不要な備品を売買する可能性を尋ねてみたことがあるのだが、大学という組織では制度的に物を売って収益を得ることはできないそうである。「血税で購入した備品で収入を得ることはできない」とのこと。なるほどと思いつつ、ちょっとニュアンスが違うなと感じた。どちらにしろ日本中の大学の財産管理制度を変えるなど私の手に余る仕事なので、しかたないとあきらめた。
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