自宅にいると妻から「暖房費がもったいないわよ」と言われるので大学に出ている。幸いまだ個人研究室を使えるので居場所はある。学生実験のレポートやテストの採点したり論文を書いたりという仕事をして過ごしている。
ところで先日火曜日、ハローワークで直近4週間分の失業保険受給の手続きをした後に、元同僚と社会保険事務所へ出向いた。失業に伴う私学共済年金から国民年金への変更をするためである。去年12月13日に市役所の年金課窓口で手続きをしたのだが、未だ振込用紙が送られてこない上に、最近「国民年金被保険者 資格取得・種別変更・種別確認届書」という書類と「国民年金保険料の納付窓口開設のご案内」という葉書が別々に送られてきた。葉書によると10月分の記録が未納だった。私のデータがきちんと処理されているように思えなかったし、この際なので年金記録を確認したかった。元同僚は年金番号を3つも持っているのでこれらを1つに統合するためであった。
受付で要件を告げると2階へ案内され5分と待たずに窓口の男性職員が対応してくれた。データを照会したところ、切り替えの処理は済んでいるとのこと。もうじき振込用紙は届くはずだが、すぐに用紙を作ってくれるという。その場で10月から12月の分を現金で支払った。そして1月以降は郵便局口座からの自動引き落としにした。
記録の確認のため、被保険者記録照会回答票という書類を出してもらった。領収書などの手元の資料と記録が一致した。国民年金納付済み月数86、全額免除月数43、共済組合等加入月数57。よって合計加入期間186ヶ月。300月以上納付すると65歳から受けられるとのこと。私の場合は114ヶ月、つまりあと9年6ヶ月以上支払うと年金を受けられる。ちなみに40年間払ったとすると1ヶ月に66,208円受給でき、保険料納付済期間が短い(40年に満たない)と基礎年金額は減額される。在学期間(平成3年4月から平成12年3月までの場合)で免除を受けた期間については、その期間を3分の1として基礎年金に反映されるらしい。
ついでに海外に住む場合の事を聞いておいた。二重加入の防止と年金加入期間の通算のための社会保障協定がいくつかの国と結ばれており、この協定を発効している国に住む場合には特例が適用されるとのこと。社会保険庁
私は平成3年に法律が改正されて20歳以上が強制加入になって以来、被保険者である。しかし私には未納期間が9ヶ月分ある。これは大学院在学中に父が失業したときのもので、当時市役所の年金課窓口を訪ねて事情を説明したのだが、太った中年女性の職員に免除の手続きを拒否されてしまったためだ。前年度の収入で支払えという高圧的な対応であった。学生への配慮という点では改善されて、現在では学生納付特例制度があり、親の収入とは関係なく在学中に免除が受けられる。
今回対応してくれた職員の方は最後に、私たちが元大学教員であることを知ると、ほとんどの大学生はこの制度に該当するということを(できれば大学まで出向いて)学生に説明したいと言っていた。元同僚の用件と合わせて一時間以上もかかったのだが、適切な処理と丁寧な説明を受けることができ、誠実な印象を受けた。
ところで少し話は変わるが、「お金がなくても研究をして食べていけるだけでいい」と思っていてもそれは働ける間だけの話である、ということに最近気がついた。問題は定年後に起こる。65歳で定年して国民年金を受けたとしても、一月に最大6万6千円(この額よりかなり少ないはずだが、私学共済年金と生命保険会社のものが若干ある)。これだけでは到底暮らしていけないので、それなりの蓄えがなければなるまい。どれくらい必要になるか、計算してみた。
日本人男性の平均寿命は79歳であるから、65歳で定年した後14年分の蓄えがあれば足りる計算になる。(細かいことを言うと40歳での平均余命は40.25歳なので我々の世代では80歳程度が平均と見るべきだろう。しかも医学の発達にともなって今後さらに寿命が延びる可能性が高い。)しかしこれはあくまでも平均値に過ぎない。私の父方の祖父(享年95歳)や母方の祖父(享年93歳)のようには長生きしない、という保証はどこにもないのである。折に触れて私に年金を払っておくようにと言いつけていた父方の祖父のように95歳まで生きると、30年分の蓄えが必要となる。仮に年間300万円で生活した場合(贅沢はできませんね)、単純に30年分とすると9千万円ということになる。国民年金、共済年金等をもらったとしても、定年時に7千万円程度は必要になる。
研究者という職業は経済的な面でそれほど楽ではない。まずスタートの段階で学費という投資と在学期間という時間が必要となる。つまり大学院に入って博士号の学位を取らなければならない。その間収入がないだけではなく、奨学金という借金をする場合が多い。私の場合は大学院博士課程後期に日本育英会から約4百万円を貸りて現在返済中である。
留年や浪人をしないでカリキュラムどおりに博士の学位を取って大学院を修了すると27歳である。就職先がすぐ見つかったとして働き始めるのは早くても28歳。何もかもうまく行くとは限らないので働き始めるのは30歳前後と考えたほうがいい。私の場合、初めてフルタイムの博士研究員の仕事についたのは29歳の時だった。学位を取ってすぐ働き始めたとしても、定年までに35年程しか働けず、しかもその間に定年後の30年分の生活費を貯蓄する必要があるということだ。
学位取得後35年間で7千万円を積み立てるには、一年に2百万円ずつ貯金していく必要がある。ちなみに私は学位取得が96年だったので、この計算での現在の貯金高は2千2百万円になる。もちろんそんな大金があるはずがない。失業している暇はなさそうだ。
実際のところ、収入面で研究職を高給取りとは言いがたいし、終身雇用の身分にならない限り生活は不安定である。私は立命館大学で任期つきの助教授(2007年度から准教授)だったが、年収は5百万円台(妻からは安月給といわれてました)で、約4年半の在職中に昇給はなかった。それでも身分をもって研究できてありがたかった。
もし私が生涯賃金や定年後の問題を学生時代に知っていたとしても研究者を目指したであろう。何も後悔をしていない。しかしもっと経済の勉強をしておいたらよかったと思う。今からでも遅くなかろうから、このブログのタイトルを「健康的かつ経済的研究生活のすすめ」に変更しようかと検討中だ。というのは冗談だが、しばらくは経済的な問題に取り組むことになりそうである。
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